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ニューヨークの水道水がおいしい理由

「アメリカの水は日本人には合わない」そう思っている人にとって、ニューヨークは意外な街かもしれません。

前回お伝えした通り、アメリカの多くの都市では、日本より硬度が4〜6倍高い水が供給されています。

ところがニューヨークの水道水の硬度は約40〜80mg/Lと、東京とほぼ同じ。地元では「水道水でおいしいベーグルが焼ける」と言われるほど、市民に愛されています。同じアメリカなのに、なぜニューヨークの水道水だけがおいしいのでしょうか。

ニューヨークの水道水がおいしいのはなぜか

結論から言えば、水源が良いからです。

ニューヨーク市の水道水の約90%は、州北部のキャッツキル山系・デラウェア水系から供給されています。山岳地帯の清らかな水が、総延長200km以上の水路を重力だけで流れ、市内まで届きます。

山の地質と水源の性質が軟水をつくり、それがそのまま蛇口から出てくる。ニューヨークのおいしい水道水の正体は、シンプルに「水源の水がきれい」だということです。

なぜ水源のきれいさを保てているのか

ニューヨーク市は、EPA(米国環境保護庁)から、ろ過施設なしで水を供給することを認められた、アメリカでも数少ない大都市です。

これが可能なのは、市が水源地そのものを守り続けているからです。ニューヨーク市はキャッツキル山系一帯の土地を買い取り、農業や開発を厳しく管理してきました。水源地の保護に投じられた費用は数十億ドル規模にのぼります。

つまり、ニューヨークのおいしい水道水は偶然ではありません。100年以上にわたって水源を守り続けてきた、投資と管理の結果です。

水の違いは、食の違いになる

「ニューヨークのベーグルは他の街では再現できない」という話があります。これは単なる都市伝説ではなく、水に関係しています。

生地をこねる水の硬度は、パンの食感を左右します。軟水は小麦のグルテンを引き出しやすく、もちもちした弾力のある生地に仕上がります。ニューヨークのピザも同じで、「同じレシピでも他の都市では味が変わる」と言うシェフがいるほどです。

水は飲むだけのものではなく、料理の隠れた主役でもあります。その土地の水が、その土地の食文化をつくっているのです。

おいしい水は、守られてきた水

ニューヨークの水道水が教えてくれるのは、シンプルな事実です。おいしい水は、守られてきた水だということです。

水源地を守り、開発を規制し、何十年も管理を続ける。その積み重ねだけが、蛇口から出るおいしい水をつくります。逆に、水源地が損なわれれば、どれだけ技術が進んでも水本来のおいしさは戻りません。

これはアメリカだけの話ではありません。日本のおいしい水も、誰かが水源を守り続けてきた結果です。”みずのみず”が水源地との関係を何より大切にしているのは、この考え方に基づいています。あなたが今日飲む水も、どこかで誰かが守ってきた水かもしれません。

  次回は「ハリウッドセレブが水にこだわる理由」。硬水の街ロサンゼルスで、なぜセレブたちは水を選ぶのか。その文化に迫ります。

中田 皓太

中田 皓太

立命館アジア太平洋大学 国際経営学部に在学中。中国と日本での生活を通じて、水に対する意識の違いを実感し、水の価値に関心を持つ。 父の所有する水源地に海外資本による買収の動きがあったことをきっかけに、日本の水資源の重要性に目を向ける。 現在はみずのみず株式会社にてインターンシップ生として活動中。コラム執筆を通じて、日本の水資源の大切さを発信している。

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