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私が見た“みずのみず”

私たちが毎日何気なく飲んでいる水。蛇口をひねれば無限に出てくるように思えますが、その一滴一滴は、山や森が長い年月をかけて育んだかけがえのない存在です。しかし、日本では「水は無料」「水は当たり前」という意識が根強くあり、その価値が過小評価されてきました。しかし実際には、地域ごとに異なる環境や水源の状況によって成分も味も背景も異なります。

私は中国に住んでいたこともあり、安心して飲める水は決して当たり前に手に入るものではないと経験しています。日本に戻ると水は安全で、「無料が当たり前のもの」という認識が社会全体に根付いていることに驚かされました。またある時は、私の父が所有する水資源の土地に、海外資本から「買収したい」という話が持ちかけられたことがありました。そのとき、私は日本の水が海外から狙われているという現実を知り、大きな危機感を抱きました。

みずのみずの活動

“みずのみず”は、そうした現状に対して水の本来の価値を正しく伝えることを使命としています。水を単なる消費物としてではなく、選ばれることで価値が生まれる存在として扱う会社です。

最も大切にしているのは、水源地との信頼関係です。私たちは、水を“商品”として扱うのではなく、その土地の歴史や文化、人々の営みに深く敬意を払いながら、水源を守り続けてきた方々と向き合い、正当な対価をお渡ししています。
水の恵みとともに、未来への循環を育む取り組みを続けています。ここで重視されるのは、水の硬度や味わいといった数値や味覚だけではありません。その水が湧き出る風土や背景、地域の暮らしとどのように結びついているのか。つまり「水が持つ付加価値」こそが本来の水の価値となります。

また、“みずのみず”のコンセプトは単に飲みやすさを求めるものではありません。料理やお酒とのペアリング、時間帯やシーンごとにふさわしい水を提案することで、水が文化や体験を引き立てる存在であることを大切にしています。

私が“みずのみず”を選んだ理由

そんな活動に強く共感し、私はインターンシップ生として“みずのみず”に関わることを決めました。きっかけは「毎日に寄り添う水の価値の再定義」という理念です。日本の水資源の課題に真正面から取り組む企業は他になく、「ここしかない」と感じました。

私は、日本人が水資源を手放してしまう背景には「水は無料で当たり前」という価値観があると考えています。だからこそ、水には価値があることを証明しなければならない。そんな想いを抱いていたときに、「水の価値の再定義」を掲げていた“みずのみず”と出会いました。私は迷わず問い合わせをし、小寺さんと直接お話する機会をいただきました。その場で「ここでなら自分の問題意識を実現できる」と確信し、インターンシップ生として関わることを決めたのです。

実際に活動に参加してみると、水の価値を社会に証明する難しさや、会社を経営していく大変さを肌で感じることができました。これらは本や授業では得られない、生の経験と学びです。まさに「ここでしか得られない経験」だと感じています。

水の価値の再定義とは

「水はどれも同じではない」。これを社会に伝えることこそが「水の価値の再定義」です。
社会が「安く、大量に、均質なもの」として水を扱ってきた価値観を、「個性があり、背景を持ち、選ばれる価値を持つもの」へと変える。そのために必要なのは、一人ひとりが水を“意識して選ぶ”ことです。

日本では「水は無料で当たり前」という価値観が根強く、それが水資源を軽視する原因になってきました。その隙を突くように、海外資本が日本の水源を買収しようとする動きが広がっています。これに対抗するには、日本人自身が「水には本来もっと大きな価値がある」ことを認識し、その価値を守ろうとする意識を持たなければなりません。

私が水の価値を伝えたい理由

私が「水の価値を再定義したい」と考えたのは、中国で水を当たり前と思えなかった生活、日本での水は当たり前という意識、そして父や日本の水資源が海外に狙われた現実。これらの経験のすべてから、私の「水を守る」という考えに至りました。

「水の価値の再定義」とは”みずのみず”の信念であり、日本の水源を守るための具体的なアクションです。水を「飲むもの」から「選ぶもの」へ。その一杯を選ぶ小さな意識の変化が社会を動かし、水資源を未来へとつなぐ力になると私は信じています。

中田 皓太

中田 皓太

立命館アジア太平洋大学 国際経営学部に在学中。中国と日本での生活を通じて、水に対する意識の違いを実感し、水の価値に関心を持つ。 父の所有する水源地に海外資本による買収の動きがあったことをきっかけに、日本の水資源の重要性に目を向ける。 現在はみずのみず株式会社にてインターンシップ生として活動中。コラム執筆を通じて、日本の水資源の大切さを発信している。

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